研究課題/領域番号 |
25870394
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
吉元 俊輔 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (00646755)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 触覚ディスプレイ / 触覚センサ / 電気刺激 / 多重化 / 質感変調 / 生体電気 |
研究概要 |
本研究では,人の触に関わる動作や操作を記録・推定し,状況に応じて触覚提示を行うことで感覚を補う触覚拡張現実感システムを医療や産業分野で利用可能とするために,使用者に装着感を感じさせないほど小型で単純な機構の触覚インタフェースを実現することを目的としている. 初年度であるH25年度では,①生体電気式触覚センサとディスプレイの信号を多重化するための制御システム,②道具の操作状態を計測する生体電気式触覚センサ,③指で加えた力を光学計測するシステムの提案と評価を行った. ①では,生体電気式触覚センサの計測信号と電気触覚ディスプレイのパルス刺激信号を多重化するための時分割多重化制御と計測信号の補償方法を提案し,触覚情報の計測と提示が同一の電極で実現されることを確認した.これにより,指中節に取り付けた電極により,指先の触覚を計測すると同時に,人工的な触覚を生成することが可能となり,装置の簡略化が実現される.②では,触動作の一例として指先での道具操作を例に,生体組織と金属道具の接触状態を計測する,電気接触抵抗の計測システムを提案し,モーショントラッキングシステムを用いた評価を行った.組織の単純な変形操作を行った際の出力と動作の関係を調べたところ両者に相関が認められ,操作状態を計測可能であることが確認された.③では,物体の変形をカメラ画像を用いて計測し,指で加えた力を推定する方法を提案し,評価システムとしての利用可能性を調べた.皮膚の変形操作を例に提案システムの出力と較正された力覚センサとの相関を調べたところ,両者の相関が認められ,提案システムの有効性が確認された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は,使用者に装着感を感じさせないほど小型で単純な触覚インタフェースを実現することを目的とし,人が物体に触れた情報を電気インピータンス計測に基づいて推定する生体電気式触覚センサの開発,高品質な触覚を重畳提示可能な電気刺激手法の確立,触覚センサと提示装置の多重化に取り組むものである.現在までに生体電気式触覚センサおよび電気触覚ディスプレイの基本システムの構築,触覚センサの評価手法の開発,センサとディスプレイの信号を多重化するシステムの基本設計を得ることができている.一方で高品質な触覚提示のための電気刺激技術の確立,触覚センサと提示装置の統合による応用システムの開発には至っていない.以上からおおむね順調であると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
今後は高品質な触覚生成が可能な電気刺激技術の開発,触覚センサと提示装置を組み合わせた応用システムの開発に取り組む.具体的には,電極の接触状態の安定化,電極位置の最適化,計測信号処理の考案,刺激信号パターンの考案,人の運動や操作を支援する触覚拡張現実感システムの構築・評価に取り組む.
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次年度の研究費の使用計画 |
研究室異動のため,研究設備を整える上で支出に変更が生じた. 次年度は電気刺激回路の改良を行う.そのため,評価に利用する計測機器,電子部品やその製造費が主な支出内容である.昨年度の繰越分については,電子回路部品の購入に補充する.また,昨年の研究成果を発表するための予算についても計上している.
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