プロペラタービンは一般に大型の翼を高速回転することで,流れ損失を低減し,大きな出力を発生させる上で有利となる.しかし,コストや施設周辺への影響を考慮すると,出力を保ちつつプロペラタービンを小型化し,低速化の両立を図ることは重要となる.本研究では後方スウィープに着目し誘導抵抗を低下させ,プロペラタービンの効率を上げる低アスペクト比ブレードの形状の検討を行った. 本研究では風洞試験,CFD解析を行うにあたって,直径400mmのプロペラタービンの設計・製作を行った.低速回転のブレードとして,風速に対する翼端速度の比である周速比を3および5となるように,翼素運動量理論に基づく手法を用いて設計を行った.なお,小型の実験モデルではレイノルズ数効果が大きく,ブレードの断面損失の影響が無視できないため,各半径面における断面損失の影響も翼素運動量理論に組み込んだ手法を開発した.ブレードの平面形はスウィープのないストレートブレードに加えて,ブレードを後方に円弧上になるようにスウィープを設けたブレードを用いた.後方スウィープは各半径における翼弦長1/4の位置が,任意の中心角の円弧をえがくように施し,中心角は30°,60°,80°の3種類を用いた.ブレードの製作には3Dプリンタを用いることで低コスト化を図り,合計8種類のブレードを製作し,実験を行い,CFD解析による流れ場の観察を行った. 風洞実験,CFD解析の結果,後方スウィープを設けた場合にはパワーが向上することが確認された.設計周速比3のブレードでは設計周速比を含む幅広い条件で3-7%程度パワーが向上し,設計周速比5の場合には比較的高い周速比の場合に7-17%のパワーが向上し,ブレードのアスペクト比によるスウィープの効果の違いが確認された.ただし,設計周速比3のブレードの方が全体的にパワーは大きかった.
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