今年度も幕末・明治初期における日伊交流史の研究を進めることができた。2015年8月14日から9月8日までイタリアのミラノ、チェゼーナ、トリノへ赴き、資料調査を行った。まずはミラノにおいて資料調査を行い、日伊関係史に関係する珍しい洋書、新聞記事や未刊書簡を拝見することができた。また、チェゼーナで、Stefano Accardiという人物による日本関係の旅日記を拝見できた。トリノで未刊の史料を発見できた。それは第二代駐日イタリア公使の弟、日本で蚕種商人として活躍していたPietro Fe' D'Ostianiによるノート(手稿)である。その中で日本に関する記述があり、極めて興味深い史料である。 次に、2015年9月15日から2015年9月30まで再びイタリアへ赴き、この度はローマで、主に国立中央図書館で調査を行い、日本で入手し難い、または珍しい日伊交流史を中心とした数々の洋書や刊行物を調べることができた。また、カターニア大学では、9月24日から26日まで第39回AISTUGIA(伊日本研究会)大会が開催され、そこでイタリア語による研究発表をした。その発表は、戊辰戦争時の東北地方を旅し、盛岡藩に武器と弾薬を運ぶイタリア商人Giacomo Farfaraおよびその日本における活動を扱う。 2015年10月17日に学習院大学(目白キャンパス)において開催されたイタリア学会第63回大会に参加し、発表をした。この発表ではGiacomo Farfaraの『日本北部旅行日誌』を日本で初めて公開し、主に彼と駐日イタリア公使との関係に焦点を当てた。 続いて、2015年11月18日に、イタリア文化会館(東京)でイタリア語による研究発表をした。その中で、江戸末期と明治初期に来日するイタリア人(外交官、軍人、商人)たちは、日本語という極めて難しい言語に対して、どのような姿勢をとっていたのかを追求した。
|