研究課題/領域番号 |
25870399
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
吉崎 亜里香 大阪大学, 連合小児発達学研究科, 特任助教(常勤) (90600552)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 子どもの睡眠 / 尺度開発 / 認知行動療法 / 睡眠健康教育 |
研究実績の概要 |
前年度までに、我が国の中学生の生活や睡眠の実情に見合った中学生睡眠質問票を専門家チームにより開発しており、完成した質問票について、国内の公立中学校(18校)で約3200名から回答協力を得ていたが、本年度は、当該データについて解析を進行し、学会での発表を行った。 解析により、本邦の中学生の睡眠習慣やライフスタイルにおいては、小学生版と同様に学年差が見られ、高学年になるほど、個室就床が進み、遅寝になり、それによって睡眠時間が短縮し、入眠潜時は長くなる傾向が見られた。また、高学年になるほど親子の報告する睡眠習慣のズレが拡大し、夜間のメディア利用時間が増加していた。 また、保護者の報告の正確さについて検討した結果、本邦の保護者は、中学生年齢においても、子どもの睡眠習慣について比較的正確に把握していることが明らかになった。一方で、保護者の評価した「子どもの眠りの良さ」は、子どもの睡眠に関する諸症状よりも、就床時刻との関連が強く、本邦の保護者は、子どもが早く就床することを眠りの良好さの判断材料にしている可能性が示唆された。 また、一般の中学生における睡眠の評価尺度の因子構造を検討した結果、保護者の尺度では3因子(睡眠時無呼吸、パラソムニア、日中の行動/気分)、生徒の自記式尺度では6因子(概日リズムの問題、遅刻/欠席、朝の症状、日中の問題、不眠/悪夢、レストレスレッグス症候群)の因子構造を確認し、学会にて発表を行った。さらに、臨床群のデータの蓄積を進行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
子どもの眠りに対する捉え方を測る尺度の信頼性・妥当性を検討する上で必要なツールとして、まずその外的妥当性を検討するための中学生用睡眠評価尺度を開発する作業が必要となった。中学生用睡眠評価尺度の開発において、全国の多くの中学校から協力を得ることができたため(合計18校、4000名超)、データ収集に時間がかかった。また全ての協力校が結果のフィードバックを希望したため、各校の傾向の分析とフィードバック資料の作成等に多くの時間を要したことも、進捗の遅れの一因である。また、臨床群のデータの蓄積に時間を要している。上記手続きにより、それ以降の進捗に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
中学生版睡眠質問票の標準化作業を終えた後、子どもの眠りに対する捉え方を測る尺度の日本語版のデータ収集を実施し、子どもの眠りに対する捉え方を測る尺度の信頼性・妥当性を検討する。 子どもの眠りの問題に介入するための心理プログラムを開発し、我が国の子どもたちに実施した上で、上述の尺度によりその有効性を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度において、研究代表者の体調不良により、遠方での資料収集や学会参加が困難であったため、これらの経費を使用することができず、次年度使用額が生じている。
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次年度使用額の使用計画 |
国内外の学会での資料収集や、有識者からの情報収集を実施すると同時に、分析結果の論文化を行っていく。また、前年度までに開発した眠りの信念の質問票のデータ収集と結果の報告を行う。
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