新生仔マウス角質層脂質を用いて、網羅的リピドミクスを実施した。野生型マウスと当該リパーゼ遺伝子ホモ欠損マウスの比較の結果、広範なサブクラスの脂質分子種の変動が見られた。単一リパーゼの欠損が多くの脂質分子種の組成に影響し、表皮バリア機能の破綻に繋がることを明らかにした。皮膚のX線小角散乱測定や電子顕微鏡による構造的な解析でも、脂質ラメラ構造の異常が確認された。以上により当該リパーゼが関与する脂質代謝過程は、角質細胞間脂質のセラミド保持に重要であり、脂質ラメラ構造の形成に必須であることを明らかにした。本研究の成果は、新たな皮膚疾患の原因遺伝子の同定へと発展する可能性を有するものであると考える。
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