本研究課題では、細胞間コミュニケーションの可能なプロトコルの1つとして細胞の膜電位変動に着目し、その検出や制御を通じて、これら細胞の「つぶやき」とパターン形成過程との関わりを明らかにすることを目的に研究を行った。最終年度である本年度は、昨年度に引き続き、以下の項目について研究を進めた。1. 膜電位感受性蛍光プローブを色素細胞特異的あるいは全身性に発現するトランスジェニックゼブラフィッシュの作製。2. 細胞膜電位を脱分極方向へシフトさせる効果をもつと推定される複数の遺伝子について、色素細胞特異的な発現を誘導するトランスジェニックゼブラフィッシュの作製。3. 光刺激により細胞膜電位の脱分極方向もしくは過分極方向へのシフトを誘導し得るチャネル遺伝子を導入したトランスジェニックゼブラフィッシュ作成の試行。4. ゼブラフィッシュ体側への任意の光刺激を可能とする個体トラッキング・光照射システムの開発。5. 光感受性トランスジェニックゼブラフィッシュと個体トラッキング・光照射システムを用いた、膜電位パターン操作による模様パターン変化惹起の試行。以上の成果として、ゼブラフィッシュ個体の左体側と右体側に異なる強度の光刺激を与えることで膜電位パターンを操作するシステムを構築し、膜電位パターンが模様パターンに与える影響を解析することが可能になった。
|