大動脈瘤に対する新たな治療法の確立や病態の解明のため、実験動物における大動脈瘤モデルの作成は重要な役割を担うと考えられている。開腹処置を必要としない経カテーテル的に大動脈瘤モデルを作成することで、従来のモデルよりも有用かつ実験動物の苦痛を最少限に抑えた大動脈瘤モデルの作製法の確立を目的として実験を行いました。 ブタを全身麻酔で鎮静した後、頸動脈・大腿動脈よりシースを挿入し、それぞれよりバルーンカテーテルを挿入しました。腹部大動脈にてこれら両方のバルーンを拡張し、血流の遮断を行いました。その際に、遮断する腔内にマイクロカテーテルを残しておき、そのマイクロカテーテルよりエラスターゼを注入しました。注入後に血流遮断を解除し、4週間後に再度全身麻酔下に血管造影を施行し、血管の形態を評価しました。 結果として動脈瘤を作成することができましたが、大きな問題が2点ありました。まずは作成成功頻度であり、実際には10%程度と当初の想定(50%程度)よりも大幅に下回っていました。また、作成された大動脈瘤のサイズ・形態に関しても不整な形態のものが多く、モデルとして有用なものではありませんでした。薬剤投与後に脆弱となった壁に対するバルーン拡張やワイヤ-による内膜損傷なども試行しましたが、大動脈に解離を生じるのみであり、大動脈瘤モデルの作成頻度を上昇させることはできませんでした。 以上より、大動脈瘤モデルの作成実験は当初の予定通り終了することができませんでした。
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