順序パターン解析とは、時系列から値そのものではなく値の間の大小関係に基づいて情報を引き出す方法である。本研究では、第一に、時系列の様々なエントロピー(時系列の特徴量)を大小関係のみから測ったとき、適当な条件のもとで両者が一致することを独自の方法を用いて新たに示した。第二に、線形な大小関係を超えたより一般の時系列のパターンに基づく解析方法として様々な半順序エントロピーを提案し、これまで順列エントロピーについて知られていた数理的結果を拡張した。第三に、新たな応用として順列局所伝達エントロピーによるサルの下側頭葉皮質脳波の解析を実践し、視覚刺激に誘発された電位伝播に伴う情報伝達の様式を明らかにした。
|