これまでわれわれはヒト皮膚にメラノプシンが発現していることを報告したが、皮膚においてもメラノプシンが機能していれば、少なくともセカンドメッセンジャーであるGnaq/11の共発現が認められることが示唆される。 本年度は、手術検体で余剰となったヒト正常皮膚を検体としてWestern blotting法により、メラノプシンとGnaqのタンパク質発現を検討した。また、ヒト皮膚検体よりケラチノサイト、メラノサイト、ファイブロブラストをそれぞれ単離培養を行い、Real time PCR法で、それぞれの細胞系統におけるメラノプシンならびにGnaq、Gna11のmRNA発現量を定量化し、それぞれ比較した。さらに、メラノプシンおよびGnaqに対する免疫染色を行い、組織学的にその局在性を検討した。 その結果、ヒト皮膚および単離培養された各細胞系統におけるWestern blotting法により、メラノプシンとGnaqの発現がいずれも確認された。Real time PCR法による検討では、Gnaq、Gna11の発現量はメラノプシンよりも約1000倍多かった。いずれも各細胞における発現量はほぼ同等であった。免疫組織化学的検討では、表皮、汗腺、毛根にメラノプシンとGnaqの共発現を認めた。一方、Gnaqのみの発現が認められたのは、皮脂腺、毛根の一部であった。 皮膚組織において、一部の皮膚付属器を除き、メラノプシンとGnaq/11の細胞レベルでの共発現が認められた。これは、皮膚においてもメラノプシンが光を受容し、機能している可能性があることを示唆する。
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