研究課題/領域番号 |
25870431
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
川根 昌子 奈良女子大学, 学内共同利用施設等, 研究員 (80644856)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 遺伝子資源保全 / 遺伝的多様性 / カタストロフィ |
研究概要 |
◆生息地の把握と試料採集:カワスナガニ、タイワンヒライソモドキを採集するため、2013年6、7月に紀伊半島沿岸域を順に回った。その結果、カワスナガニは9地点で、タイワンヒライソモドキは8地点で生息が確認された。 ◆遺伝的多様性の算出、遺伝的集団構造解析(mtDNA):9地点から得られたカワスナガニ中、8地点のサンプルの解析を行った。mtDNA COI領域の塩基配列を決定した結果、見出されたハプロタイプは52であった。これを元に地域集団間の遺伝的分化を見たところ、紀伊半島南西部と東部の地点間、東部と北部の地点間に有意な遺伝的分化が検出された。遺伝的多様性の指標において、ハプロタイプ多様度、塩基多様度ともに、2013年度の結果を過去のデータ(2006年度、2001,2002年度)と比較した結果、どの地域においてもハプロタイプ多様度、塩基多様度ともに顕著に減少しているということはなかった。 また、7地点のタイワンヒライソモドキを解析した結果、見出されたハプロタイプは21であった。地域集団間に遺伝的分化はみられなかった。タイワンヒライソモドキの遺伝的多様性の指標において、ハプロタイプ多様度、塩基多様度ともに、2013年度の結果を過去のデータ(2006年度、2002-2004年度)と比較した結果、過去データの存在する富田川、日置川においてはハプロタイプ多様度、塩基多様度ともに減少しているということはなかった。その他の地域集団においては過去のデータと比較はできないが、富田川、日置川と比較して顕著に低い数値を示すということはなかった。 ◆優良MSマーカーの開発と選定:カワスナガニ、タイワンヒライソモドキのDNAを次世代シーケンサーにより解析し、多くの塩基配列を得た。これをもとに各種数十ペアのプライマーを作成した。今後、これらの有効性を検証し、解析に用いる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の概要にも記した通り、当初の予定通り進行している。
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今後の研究の推進方策 |
◆生息地の把握と試料採集:ほぼ完了しているが、可能であればMS解析の精度を高めるために試料の追加採集を行いたい。 ◆遺伝的多様性の算出、遺伝的集団構造解析(mtDNA):平成25年度に結果を得ている。解析個体数を増やし、解析の精度を高める。 ◆遺伝子流(MSマーカー):前年度に作成したプライマーの有効性の検証と、これらを用いたフラグメント解析を行う。全ての個体のアリルを決定後、地域集団間にどの程度遺伝的交流がみられるかを、専用のソフトウェアを用いて算出する。また、同一地域の、採集年度が異なる集団間でも解析を行い、微小時間スケールでの遺伝的差異を検出する。
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次年度の研究費の使用計画 |
2014年5月から約半年の育児休暇取得予定に伴い、研究期間を延長する予定であるため。 平成26年度の持ち越し分と合わせ、育児休暇復帰後の研究計画に使用予定。
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