本研究は,東京大都市圏を対象に,保育供給主体の多様化がどのように生じており,また子育て世帯がいかなる戦略によって育児と仕事を遂行しているかについて,地域差と空間的側面に注目しながら明らかにしたものである.保育の規制緩和にともなって,保育供給には中心部と縁辺部での格差が生じている.また,東京都心では,短い通勤時間や豊富な民間保育サービスによって就業継続を可能となる一方,支払い能力によって保育サービスの利用可能性に格差が生じている可能性があること,郊外では,既婚女性を中心とした地域活動を背景として,NPOなどボランタリーな主体が保育の担い手として重要な役割を果たしていることが明らかとなった.
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