昨年度までに行った検討から地域の支援リソースが制度利用に影響を及ぼすことを確認しているため,複数の制度について共通して影響を及ぼす支援機能を推定するとともにその作用プロセスを検討した.また2009年の行政仕分けを境に地域の支援機能が支援制度に与える影響がどのように変化したのかを検討した. JSTの支援制度を対象に複数の制度を検討したところ共通して得られた地域の支援機能は「ファンディング機関の支援拠点の有無」であった.このことからファンディング機関の地域拠点には各地域に存在する支援機関にはない機能が備わっていることが示唆された.この具体的な機能を推定するために関係者に対するヒアリング調査の結果を検討した.その結果,1)制度に関する理解度,2)制度周知のモチベーション,3)複数の制度の統合運用を行うことで研究者等の制度利用者の利用を促していたことを示した. 2009年の行政仕分けを境とした支援機能の影響評価については,地域における産学官連携従事者の数とファンディング機関の地域拠点については共通して影響が検出されており.地域の支援リソースの影響が示された.一方で,2009年以後の制度に関してはモデルの説明率が低下しており,実際にも制度について利用が大きく落ち込んでいることから従来の機能していた地域の支援機能の効果が低下したことが示唆された.これは制度の大幅な改変によるものと考えられる. 上記に加えてネットワーク分析を用いて制度利用者のネットワーク構築傾向を検討した.これによって広域連携を促進するために大学や研究開発法人が重要な役割を担っている可能性を示した.
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