研究課題/領域番号 |
25870447
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
大西 一成 鳥取大学, 医学部, 助教 (50596278)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 黄砂 / 越境汚染 / PM2.5 / 健康影響評価 / 大気浮遊粒子状物質 / 花粉 / WEBアンケート / アレルギー |
研究概要 |
本研究の目的は、大気浮遊粒子状物質が引き起こす健康影響の評価とアレルゲンの特定を行うことである。この目的の達成のために大気浮遊粒子状物質による個人の自覚症状を把握するためにインターネット(WEB)を用いた自覚症状調査を実施した。質問項目に、外出状況(外出時間、活動場所など)、予防行動(マスク着用の有無など)の暴露因子を盛り込んだ。同時に、気象・環境因子データの収集および浮遊粒子の採取を行った。 汚染物質は、黄砂、花粉、重金属類、多環芳香族炭化水素(PAHs)、二酸化硫黄、二酸化窒素、オキシダント、一酸化炭素。気候データは、気圧、気温、湿度を収集した。バイオエアロゾル、微生物データの収集については、新たな採取方法を検討・構築し26年度に実施する。 当初予定の、参加者200名は到達できなかったため、26年度以降にアンケートのスマートフォンアプリケーション化や参加者の継続参加のためのフォローアップに取り組む必要がある。 様々な原因で大気浮遊粒子状物質が増加し、本研究の粒径分布のデータからはPM2.5がもっとも多く飛来していることが確認された。また、飛来時に多くの人の自覚症状スコアが上昇することも確認された。 新計測器を用いたデータ収集も構築をすすめているが、その日何が原因で何が飛来しているのか、集積したデータの代表値になるようにチューンングを進めている。引き続きデータ収集と評価を行い、黄砂・大気汚染物質に感受性を有する人への健康リスクの低減へつながる体制の構築を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までの達成度 参加者が当初計画より少ないものの、データの収集は順調に進行している。環境データの収集も順調で、フィルター採取の試料の状況も良好である。 分析費が高額なため、まだ実施していない。この鳥取県の1年間のデータによって、大気浮遊粒子状物質が上昇する日には自覚症状が上がり、その原因となる大きなイベントについて分類ができている。一方でこのイベントが大陸で起きている際には、数日後に日本で健康を害する可能性を示唆できる知見を得た。
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今後の研究の推進方策 |
当初予定の、参加者200名は到達できなかったため、26年度以降にアンケートは参加者になじみのあるスマートフォンのアプリケーション化を行い、操作の分かり易い説明書と自覚症状の診断方法についての解説を作成し、参加者の継続参加のためのフォローアップに取り組む必要があると考える。 環境試料についてんぼ当初予定していた通りに進行しているが、さらに欠測値を減らすように採取計画を組み直す。 バイオエアロゾル、微生物データの収集については、新たな採取方法(バイオサンプリング)を検討したため26年度に実行が可能である。 大気浮遊粒子状物質が上昇するイベントと自覚症状の上昇との因果関係を追求する。
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次年度の研究費の使用計画 |
予定参加者より少なかったため、参加者への謝金(図書カード)が減ってしまった。重金属分析において、全検体の分析を行うことが予算的に不可能なため、分析を行う検体の抽出を本研究の全体を通じて行うことにしたため。 参加者へ分かり易い説明書の作成、広報および謝金とフォローアップを実施する。データの収集について、計測器を補充して欠測値がないように配慮を行う。自覚症状データと環境データの解析を行うために、データを整理し常時データについては確定値を入手する。 鳥の影響や風力の強いときにうまく大気浮遊粒子状物質が採取できていないことがあるため、風力の観測および監視カメラを設置してデータの信頼性についての考察を行うことを検討している。
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