研究実績の概要 |
前年度に引き続き, 26年度前半にIn vitroでのu-HAとポリ-DL-乳酸(PDLLA)の複合体(以下3D-H/PLA)について, 前骨芽細胞様細胞株 (MC3T3-E1細胞) を用いて,研究を発展展開させた.細胞増殖能および骨芽細胞分化に関してqRT-PCRを用いて転写因子のRunx2,Osterixと,分化マーカーのOsteocalcinの発現を定量評価した.比較対象に,同一組成で3次元多孔質構造を有さない緻密体HA/PDLLAを用いた.一方, In vivoにて前年度に行ったSDラット(オス,10週齢)を用いたCritical bone defectモデルを発展させ, 3D-H/PLAを移植し,比較対象に,緻密体HA/PDLLAと一般的に臨床上用いられるβ-TCPブロックを用いた.1,2,4,8週にて検体を採取し形態組織学的に評価した.細胞増殖活性では,3D-H/PLAと緻密体とで有意差は認めなかった.一方,骨芽細胞分化において,前者は有意に著しい転写因子活性および分化マーカーの発現増強を示した.またIn vivoモデルでは,1週目より3D-H/PLA内への骨誘導再生が認められ, 2週以降では著明な新生顎骨再生が見られ, 4週で顎骨欠損部の骨架橋形成による顎骨再生が確認された.比較対象とした緻密体HA/PDLLAでは有用な顎骨再生は確認できず, β-TCPブロックでは実験群同様に4週で顎骨欠損部の骨架橋形成による顎骨再生が確認された. さらに26年度後半に, 研究申請のごとく, ラット顎骨骨膜の器官培養から顎骨骨膜由来細胞を培養誘導し, 骨再生の足場として3D-H/PLAを用いた3次元培養を行い, 骨形成細胞-足場複合体を作製し, さらに効果的な3D-H/PLAによる顎骨再生が確認された. 今後顎骨再生治療として画期的な治療法確立になりうる可能性が示唆された.
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