異常筋緊張亢進や振戦等の運動障害はタブレット端末やスマートフォンのタッチ操作を困難にする。リハビリテーション分野では、姿勢保持装置の設定や操作の対象である機器の配置といったシーティングおよびポジショニング要素により、運動機能が変化することが知られている。障害者の残存機能を十分に活用するためには、適切な設定・配置により、タッチ操作に適した姿勢を維持することが不可欠である。本研究では、モーションセンサで複数の身体部位の不随意運動を測定することにより、療法士のシーティングおよびポジショニング介入における意思決定を支援するPositioning Assessment Support (PAS) システムの開発に焦点を絞り、研究を行った。以下に成果の概要を述べる。 1年目は、PASシステムの基盤となる、タブレット端末やスマートフォン使用時のタッチ操作を計測・解析するモジュールを試作し、データの収集と特徴量の抽出を行った。2年目は、前記モジュールを基盤として、計測データを同期して、解析結果(view)を複数提示するシステムを開発し、臨床におけるユーザビリティ評価を実施した。3年目は、二つのポジショニングを比較する多角的かつ詳細なviewを提示するモジュールを追加した。比較に用いる特徴量である加速度および角速度のRMSによる評価は、療法士の観察による評価とそれぞれ83.7%、74.4%一致することを明らかにした。最終年度である4年目は、身体部位別に不随意運動の程度を把握できる全身の解析結果を示すview、身体部位別に加速度および角速度の最大値・最小値・中央値を提示するview等を実装するなど、PASシステムの解析結果提示部分のviewの構成の改善を行った。
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