研究実績の概要 |
本研究はマウス皮膚線維芽細胞より神経幹細胞を直接的に誘導し(induced neural stem cells; iNSCs)、脳梗塞などを含む神経疾患への治療応用へ展開するための基礎的研究基盤を確立することが目的である。 平成25年度に主にダイレクトリプログラミングを行うためのウイルスベクターの構築を行った後、平成26年度は 韓国建國大学のDong Wook Han博士との共同研究により神経幹細胞特異的な4つの転写因子(ここではFactor Xsとする)をマウス皮膚線維芽細胞にレトロウイルスベクターを用いて強制発現させることで、iNS細胞を誘導した。また至適条件下でニューロンとグリアに分化誘導し、免疫染色で評価した。 培養開始4週間後、皮膚線維芽細胞の形態はクラスター状に変化し、EGF,FGF存在化で継代することで、iNS細胞株を誘導した。得られたiNS細胞株はNestin, Sox2, Olig2などの神経幹細胞マーカーが陽性であることが確認された。またニューロンとグリア細胞にそれぞれ分化させた場合、ニューロンのマーカーであるMAP2, Tuj1、アストロサイトのマーカーであるGFAP, オリゴデンドロサイトのマーカーであるGalCがそれぞれ陽性であることも確認でき、このiNS細胞株が多分化能を持つことも確認できた。 以上の結果よりこのダイレクトリプログラミング法によって誘導されるiNS 細胞はニューロン、アストロサイト、オリゴデンドサイトに分化誘導可能であり、多分化能を持つことが示された。
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