長期にわたる脳の局所的な冷却が脳外科領域における難治性神経疾患に対していかなる影響を及ぼすか調べた。適冷却温度と冷却時間の関係については、脳血流の長期にわたる低灌流状態が、冷却部位の脳実質に最も影響を及ぼした。したがって、冷却中の神経細胞群が虚血に陥りそうな場合は、冷却温度を積極的に上昇させることで灌流状態を回復させ、一方で、冷却温度上昇により脳が異常活動を呈し始めた場合は、再び脳温度を降下させるような、巧みな温度制御によって脳血流を良好に維持することが長期局所脳冷却には重要と考えられた。今後は、脳活動の正確なモニタリングと状況に応じた柔軟な温度制御技術の確立を目指す。
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