研究課題/領域番号 |
25870472
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
尾本 雅俊 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (40464333)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 多巣性運動ニューロパチー / 伝導ブロック / 血液神経関門 |
研究概要 |
免疫性末梢神経障害と考えられている伝導ブロック(CB)を伴う多巣性運動ニューロパチー(MMN)は治療可能な疾患にもかかわらず筋萎縮やfasciculationを認めることから,難治性の筋萎縮性側索硬化症との鑑別がしばしば問題となる.MMNの診断においてCBを証明して,早期診断・治療介入が必要である.これまでMMNではin vitroで血液神経関門(BNB)の破綻が示唆されているが,主病変のCBとBNBの破綻の存在についての直接の証明はなされていない.今回の検討で病理学的にMMNにBNBの破綻が存在することと,CBにBNBの破綻が存在する可能性が示唆された.本研究により,将来的にMMNにおいてBNBの修復を目的とした新たな治療戦略の確立に寄与する可能性がある.臨床検体は多巣性運動ニューロパチー(MMN)症例の伝導ブロック(CB)のない末梢神経と,直視下で電気生理学的にCBを確認した末梢神経を用いる.検体を採取して2.1% グルタールアルデヒド液に固定したのちに,エポン包埋トルイジンブルー染色の光顕像を観察して,脱髄の有無の検索を含めた病理学的に検討を行う.引き続き,電子顕微鏡による撮像を行い,神経内膜内の血管密度,平均血管内皮細胞面積,平均血管内腔面積,平均血管内皮細胞核数を超微形態,核の大きさ,細胞の大きさについて病理変化を確認するとともに,定量的に検討する.また,神経内膜内血管における血管内皮細胞間tight junctionの破綻の有無を1末梢神経につき60か所以上観察することで定量的に評価して,末梢神経におけるBNB破綻の分布を明らかにする.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
末梢神経の標本の電子顕微鏡による撮像を行い,超微形態を詳細に観察することができたため.
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今後の研究の推進方策 |
今後,電子顕微鏡による神経内膜内の血管密度,平均血管内皮細胞面積,平均血管内腔面積,平均血管内皮細胞核数を超微形態,核の大きさ,細胞の大きさについて,定量的に検討する.また,神経内膜内血管における血管内皮細胞間tight junctionの破綻の有無を1末梢神経につき60か所以上観察することで定量的に評価して,末梢神経におけるBNB破綻の分布を明らかにする.
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次年度の研究費の使用計画 |
末梢神経の病理学的検索の実験が順調に進行し,末梢神経の電子顕微鏡写真の撮像枚数が,当初の予定よりも少なく実施できたため.また,当初購入予定であったダイアモンドナイフについては,一時ミクロトームの故障があったことから次年度に購入することとしたため. 末梢神経の電子顕微鏡写真をさらに撮像して,神経内膜内血管における血管内皮細胞間tight junctionの破綻の有無を1末梢神経につき60か所以上観察することで定量的に評価して,末梢神経におけるBNB破綻の分布を明らかにするための費用に使用する.
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