研究概要 |
眼から入る光刺激は内因性光感受性網膜神経細胞を介し脳内ホルモンやコルチコステロイドの分泌を促進する。このため日常生活における照明光は脂質代謝に影響を及ぼし、脂質代謝異常症の発症や増悪に関与する可能性が考えられる。本研究では、申請者の行ってきた「脂質合成酵素の分析・制御に関する研究」と「LED光の医療応用に関する研究」の成果を活かし、普及の進む新たな照明源であるLED光によって生じる脳内ホルモンならびに脂質分解・合成酵素の変化を正常マウス及び脂質異常症マウスモデルを用いて評価し、脂質代謝に及ぼす照明光の影響を検討するとともに、脂質異常症に対するLED光照明を応用した新しい治療法の確立を目指す。 急性ストレスで分泌されるコルチゾールは脂質の分解を促すことが報告されている。LED光照明によってコルチゾールの分泌が促進され、脂質分解が生じるか検討するために、①波長(445, 465, 475 nm)、②照度(1、15、50 W/cm2)③照射期間(1、2、3日間)の組み合わせによる各種条件の青色LED光を正常マウスに短期間照射し、ACTH・コルチゾール系および脂質分解・合成酵素の変化を調べることによって、脂質代謝に影響を及ぼすLED光照明条件を抽出した。 また、長期間(12時間×8週間)照射した際の脳内活性部位、血中ACTH濃度、血中コルチゾール濃度、脂質分解・合成酵素の変化を検討し、脂質代謝に影響を及ぼす青色LED光の照明条件を抽出した。
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