研究課題
プリオン病では、病原体「プリオン」が感染すると、宿主蛋白質である正常型プリオン蛋白質が凝集性の異常型プリオン蛋白質へ構造変換する。しかし、この変換メカニズムは不明である。プリオン蛋白質の51-90番目のアミノ酸領域(以下、OR部位)を欠損した正常型プリオン蛋白質には、あるプリオンの感染では変換しやすいが、他のプリオンの感染では感染しにくいという性質があり、これはプリオンによって構造変換のメカニズムが異なる可能性を示唆している。そこで本研究では、プリオン蛋白質の構造変換のメカニズムを解明することを目的とし、異なるプリオン感染時の構造変換におけるOR部位の役割を明らかにする。まず、OR部位を欠損した遺伝子改変(Tg)マウスと野生型マウス(C57BL/6)にプリオン感染を行い、プリオンの種類とOR部位の有無がプリオン病の病態進行(異常型プリオン蛋白質の動態や空胞形成などの病理学的特徴)にどのように影響するのはを明らかにした。この結果、野生型マウスと比べてOR部位欠損マウスでは、感染しやすいプリオン(RML、22L)と感染しにくいプリオン(福岡-1、BSE)が存在することを決定出来た。また、OR部位には、銅イオンが特異的に結合することが知られていることから、脳内の銅イオン濃度を変化させたマウスにプリオン感染を行い、プリオンの種類と銅イオンがプリオン病の病態進行にどのように影響するのかを検討した。この結果、銅イオンはプリオン病の病態進行には影響を及ぼさないことが明らかになった。
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PLoS One
巻: 9 ページ: e109737
10.1371/journal.pone.0109737