本課題の主たる研究テーマは,[A] 基本的な外来語の意味・用法に関する詳細な記述,[B] 外来語の文法的・構文的側面の重点的記述,[C] 日本語教育に有益な意味・文法情報の探索と検討,である。最終年度にあたる本年度は,[A][B][C]すべてに関する研究を推進した。 [A][B]に関して,本年度は,昨年度まで継続して行ってきた外来語サ変動詞および外来語名詞の事例研究を論文にまとめ,公表した。また,興味深い振る舞いを見せる外来語の収集の結果の一部を,高校生向けの研究紹介としてまとめた。 [C]に関しては,日本語文型辞典や日本語学習者用教材における外来語の記述の現状を整理し,本研究課題で行った分析内容との突き合わせを行った。また,これを踏まえ,研究レベルで用意しておくべき豊かな記述の内容を検討した。 さらに,現代日本語の外来語の意味・用法に関する研究文献を収集・整理し,昨年度からウェブ公開している「外来語の意味・用法に関する文献目録」に反映させた。また,昨年度の講演資料「日本語文法研究のための文献探索」もウェブ公開した。 本課題は,現代日本語の外来語研究を「外来語の文法」という新たな視点から推進し,同時にその応用の基盤を作ることを目的として行われた。3年間に公表した成果は,雑誌論文3編,発表6件(うち招待講演3件)である。今後の外来語研究の基盤整備のために作成・公開した「外来語の意味・用法に関する文献目録」は,最終的に217語(計118編)を掲載することができた。
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