研究課題/領域番号 |
25870485
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
滝川 祐子 香川大学, 農学部, その他 (40532932)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 博物学史 / 東西交流史 / 魚類学 / タイプ標本 / 明治初期 / 日蘭交流史 / 生物学史 |
研究概要 |
本研究では、18-19世紀にかけて、日本が鎖国政策をとった江戸時代に、西欧人がどのように日本研究を行っていたかについて、自然史研究の観点から明らかにすることを目的とした。そして西欧の学術機関に現存する、生物資料と歴史資料調査を実施した。また、生物資料、歴史資料から得られた手掛かりをもとに、来日した人物の足取り、交友関係を読み解きながら、資料が保管されていると思われる博物館、外交史料館、図書館等での現地調査を実施した。2013年度に生物資料調査及びアーカイブ資料調査のために訪問したのは、以下の研究機関である。 ドイツ:ベルリン自然史博物館及び同博物館アーカイブ部門;スウェーデン、ウプサラ大学図書館、ウプサラ大学自然史博物館、スウェーデン自然史博物館;ロシア:ロシア科学アカデミー動物学博物館(サンクトペテルブルグ)、同アカデミー科学技術史研究所サンクトペテルブルグ支部;デンマーク:コペンハーゲン大学動物学博物館、オランダ:ライデン大学図書館、国立自然史博物館;フランス、パリ国立自然史博物館及び同博物館図書館、フランス外交史料館;イギリス、大英図書館、ロンドン自然史博物館。 これらの博物館・図書館等での現地調査によって、西欧に現存する生物資料、歴史資料の中で魚類研究史に焦点を当てて分析した結果、西欧による日本産魚類研究の時期を大きく4つの時期に分けてとらえることができた。それらは、1)18世紀末から19世紀初頭、2)19世紀前半、3)19世紀後半の明治初期、4)19世紀末から20世紀初頭のの収集、であった。これらは、魚類研究史ではあるが、西欧による日本研究のうちの一つの動向としてとらえることができると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究1年目である2013年に、当初の目標である西欧諸国の博物館、図書館等の機関を広く訪問することができた。すなわちパリ(フランス)、ロンドン(イギリス)、ライデン(オランダ)、ベルリン(ドイツ)、ウプサラとストックホルム(スウェーデン)、サンクトペテルブルグ(ロシア)での調査を実施することができたことが大きい。 また、当初の目的である資料とその関連資料の有無について調査を実施した結果、これまで研究報告のない新資料の存在が、アーカイブ調査によって浮かび上がってきた。これらの新資料の中で、特に日本の科学的研究資料として持ち帰られた資料については、現存する資料が何であるかを含め、調査研究をさらに進めたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
西欧での現地調査を重ね、まだ未調査である部分や継続調査が必要な資料の調査を実施していきたいと考えている。また、西欧に現存する明治初期の日本関係資料については、本研究内容を深めていくとともに、将来的には専門家を含めた共同研究を計画する予定である。 本研究による成果の一部は、2014年度の日本魚類学会年会、日本動物分類学会年会、ヨーロッパ科学史学会の国際大会での発表を予定している。 現在、本研究に関する科学史的な考察に焦点を当てた論文は、査読され、コメントに基づいて修正した後、出版のための準備中である。
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次年度の研究費の使用計画 |
国内で予定していた研究調査のための出張が、日程調整があわず実施されなかったため。 来年度の調査研究のための旅費とする。
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