本研究では、運動・スポーツ実施の行動変容ステージが低い中高齢者を対象に、質的・量的にニーズ調査を行い、フィットネス理論に基づく健康運動プログラムを開発することを目的としている。平成25年度と平成26年度に実施したヒアリング調査及びアクションリサーチに加え、インターネットのモニター会社に登録している60-69歳の男女1000名を対象に質問紙調査を行い、分析・検討した。運動・スポーツに期待する要素としては,「防ぐ」が最も多く、「保つ」「整える」痩せる」等のキーワードが示唆され、病気・怪我等の予防や改善、さらに体型維持や体調を重視する傾向がみられた。運動・スポーツに期待する効果としては、「筋力の維持・向上」「持久力の維持・向上」「バランス機能の維持・向上」といった身体的効果に対しての期待が強く示された。運動・スポーツ実施におけるニーズは、病気や怪我等の予防・改善に加え、アンチエイジング効果や心身の体調を重視する傾向が示されていることが明らかにされた。特に、運動初心者に対するマーケティングでは筋力・持久力などのトレーニング効果をブランディングして伝達する必要性が示唆された。審査付きの学会発表では、多くの質疑応答がなされた。以上の結果を踏まえてさらにプログラムを精選し、体験イベント及び地元新聞社(県内シェア86.5%)と連携・協働した地域住民向けニュースポーツ実践の機会に反映した。住民の評判も良く、新聞や地元季刊誌等関連メディアで報道されるなど一般市民の運動・スポーツ活動の促進に貢献した。
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