研究課題/領域番号 |
25870491
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
大槻 知史 高知大学, 教育研究部総合科学系, 准教授 (40399077)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 広域避難 / 事前連携 / 沿岸部 / 農村部 / 避難所運営 / アクションリサーチ / 南海トラフ地震 / 住民交流 |
研究実績の概要 |
本年度は、昨年度に引き続き、廃校等を活用した事前連携モデルを設計するために、高知県黒潮町蜷川流域地区(海側:上川口地区、山側:蜷川地区)において両地区の事前連携の構築のためのアクションリサーチを行なった。具体的には、住民ヒアリングにより、家具転倒が両地区住民に共通する被災時の懸念事項であることが明らかとなったため、8月に両地区住民の参加による家具固定講習会を実施し、その上で10月に上川口地区の独居高齢者世帯14軒を対象とした家具固定ワークショップおよび両地区住民の信頼関係構築のための交流ワークショップを設計、実施した。 また、海側・山側地区の避難訓練を実施している徳島県美波町の関係者に対して地区間の事前連携に対する認識についてのヒアリング調査を行なった。 また、高知県においては33万人以上の県民が居住地外の地区への避難を強いられると想定され、受入側である山側地区では数百人~数千人規模での避難所が多数立ち上がると考えられる。避難者の円滑な受入のためには、海側・山側双方の住民・避難所運営スタッフ(町内会長、自主防災組織リーダー、民生委員、社会福祉協議会スタッフ等)が事前連携し、避難所運営において想定される多様なコンフリクトや問題について協働して対応を考える必要がある。これをふまえ、来年度における蜷川流域地区及び県下各地での避難者受入地区での事前連携ワークショップ実施を前提に、東日本大震災における避難所運営の実例をもとにした避難所運営意思決定シミュレーションゲームを開発し、県下各地区で試行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
黒潮町蜷川流域地区でのアクションリサーチは順調に進んでおり、両地区間で実際に事前連携を開始したことにより、地区間の人的ネットワークと防災への関心の共有が進みつつある。 また、本年度より開始した事前連携の推進のための避難所運営意思決定シミュレーションについても、来年度のアクションリサーチでの活用と効果測定に向けて、開発・試行を通じた精緻化が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は最終年度として、下記の課題に取り組む。
1)黒潮町蜷川地区における海側・山側地区の事前連携システムの高度化 2)被災時の避難所運営の円滑化に向けた、海側・山側地区の事前連携のための避難所意思決定シミュレーションの活用と効果検証 3)受入側(山側住民)・避難側(海側住民)双方の受容性調査・ニーズ調査を通じた、高知県下における都市部と農村の連携のポイントの検討
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次年度使用額が生じた理由 |
海側地区と山側地区の事前連携に関する高知県下での定量調査を予定していたが、研究の進捗により最終年度に持ち越したため。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度、次年度使用額を活用し、昨年度より持ち越した高知県下での定量調査を実施する。
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