本年度は、①調査フィールドの知見を踏まえた一般的な事前連携の枠組みの検討、②地域間の事前連携の普及可能性及びボトルネックの検討、③事前連携時に必要な地域協働型の防災ワークショップコンテンツの開発を行った。 研究①については、調査フィールドである高知県黒潮町蜷川流域地区(沿岸部:上川口地区、後背部:蜷川地区)でのヒアリング調査及びワークショップをもとに、過去における両地区の社会的・文化的・交流の歴史を踏まえた日常生活の中で交流の再生を通じた事前連携のロードマップを検討、提案した。(2015年10月、日本地域学会発表)そのうえで、沿岸部・後背部連携の二次避難受入訓練を実施している徳島県美波町由岐地区でのヒアリング調査、四万十町丸山地区での住民ベースの避難所開設・避難所運営訓練へのアクションリサーチ、高知市五台山地区での住民自主備蓄の調査等を実施し、沿岸漁村部・後背農村部の連携による一般的な事前連携枠組みの検討を行った。 研究②については、高知県嶺北地区の各市町村における廃校休校施設の管理担当課へのヒアリング調査を行い、後背部地区における廃校・休校施設の事前連携・広域避難拠点としての活用可能性及び活用を実現するうえでの課題を検討した。 研究③については、沿岸部・後背部の事前連携時に活用する防災ワークショップコンテンツとして、避難所運営シミュレーション「さすけなぶる」(2015年、国際シミュレーション&ゲーミング学会発表、査読付論集掲載済)及び子供向けワークショップツールの開発と試行を行った。
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