研究課題/領域番号 |
25870497
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
小澤 永治 鹿児島大学, 臨床心理学研究科, 講師 (60631273)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 児童養護施設 / 発達障害 / 児童虐待 / 愛着 / 自閉症スペクトラム障害 / 注意欠陥・多動性障害 / 学習障害 |
研究概要 |
本研究の目的は,我が国の社会的養護の中心を担う児童養護施設において,発達障害が疑われる入所児童の実態を明らかにし,その支援モデルの検討を行うことである。本年度は,研究協力が得られた複数の児童養護施設を対象に,発達障害が疑われる児童数と虐待経験との重複,施設で行われているケア,望まれるケアについて調査を行った。また各施設において発達障害が強く疑われケアの困難感が高い児童について,Achenbach et al.(1991)による子どもの行動チェックリスト(CBCL)を用いた調査を行った。結果より,協力施設に入所する児童の内14.8%に発達障害の特徴があることが示された。障害種別では,ADHD,自閉症スペクトラム障害,学習障害の順で多かった。本調査で示された発達障害が疑われる児童の割合は,厚生労働省(2008)による実態調査よりも多い数値であった。発達障害が疑われる児童は,友人関係,学校適応,学力,進路に難しさを持つことが示され,特に施設内での集団生活への適応に大きな難しさを持つことが示された。また,発達障害の確定診断を受けている児童の内半数が,入所前に被虐待経験を持っていた。CBCLによる検討からは,抽出された全ての児童の外向尺度得点・総得点が境界域または臨床域であり,「非行的行動」・「攻撃的行動」尺度得点が高い児童が多いことが示された。また,抽出された全ての児童に対して,施設内個別心理療法と職員への心理コンサルテーションによるケアが実施されており,ケアの有効性も高く評価されていた。以上の調査研究に加え,施設入所児童に対する複数の心理臨床実践について事例研究,臨床動作法に基づくリラクセイションに関する効果研究を継続している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度より研究代表者の所属機関が変わったことにより,研究予定に遅れが生じた。年度後半は研究が進展し,研究結果は来年度の学会誌および国際会議に発表予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に関係協力機関で得たデータを元に,全国の児童養護施設を対象とした郵送調査を行う。また,協力機関での臨床実践および職員へのインタビュー調査を継続して行う。
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