研究課題/領域番号 |
25870497
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
小澤 永治 鹿児島大学, 大学院臨床心理学研究科, 講師 (60631273)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 児童養護施設 / 発達障害 / 児童虐待 / 愛着 / 自閉症スペクトラム障害 / 注意欠陥・多動性障害 / 学習障害 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,我が国の児童養護施設における発達障害が疑われる入所児童の実態把握を行い,有効な支援モデルを検討することであった。 本年度は,昨年度に実施した予備的調査をもとに,全国の児童養護施設に対して大規模郵送調査を行った。発達障害が疑われる児童の概数や行われている支援の実態と共に,SDQ(Strengths and Difficulties Questionnaire)日本版を用いた個別的な特徴把握を行った。185の施設から回答を得て,現在は詳細な分析を進めている。そこでは,発達障害の特徴を持つ児童の多さと,集団生活での困難を多く抱えている実態が明らかにされた。また,発達障害が疑われる児童への支援として,集団での心理療法や医療機関との連携が有効と捉えられているにもかかわらず,実際にそのような形態の支援を実施できている施設数は少ないことも示唆された。予備的調査については,XXth ISPCAN International Congress on Child Abuse and Neglectにおいて報告を行った。本調査の分析の一部は,2015APCCAN(Asia Pacific Regional Conference on Child Abuse and neglect)で発表予定である。 また,発達障害が疑われる児童に対する支援の分析としては,自閉症スペクトラム障害が疑われる児童に対する心理臨床実践について事例研究を行い,支援のあり方に関する知見をまとめた。事例研究からは,対象児童について,友人関係や職員との関係性を具体的に取り扱う支援,認知的・情緒的特徴のアセスメントから担当職員への具体的なコンサルテーションを行うことの有効性が示された。 協力施設におけるフィールド観察・心理臨床実践についても継続しており,経時的変化からの検討から,多くの示唆を得ている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
郵送調査では185の施設から回答を得ることができ,統計的分析に十分な回答数を得ることが出来た。 事例研究およびフィールド調査についても継続して実施しており,事例研究論文は査読付き論文として心理臨床学研究に採択された。
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今後の研究の推進方策 |
大規模質問紙調査の分析を進めると共に,協力施設におけるフィールド観察・臨床実践を継続して行う。 結果については国際会議等で発表すると共に,調査から得られた知見をまとめ支援モデルの提示を行う。
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