本研究の目的は,我が国の社会的養護の中心を担う児童養護施設において,発達障害が疑われる入所児童の実態を明らかにし,その支援モデルの検討を行うことであった。最終年度にあたる本年度は,昨年度に実施した全国の児童養護施設に対する大規模郵送調査の分析を行うと共に,継続実践を行った心理臨床事例の検討を行った。得られた回答の内,欠損を除いた7854名の児童のデータを分析し,自閉スペクトラム症,ADHD,LDともに確定診断を受けている児童とほぼ同数の未診断で疑いが高い児童が存在することが示された。また,児童の性別・学年ごとの分析からは,自閉スペクトラム症,ADHDにおいて,男子の方が女子よりも有意に多く,特に小学生および中学生男子において確定診断を受けている児童が多いことが示された。これらの結果について,The 10th Asia Pacific Regional Conference on Child Abuse and Neglect等の学会で報告を行った。
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