研究課題
遺伝子工学技術を利用した細胞内抗体発現によるインフルエンザウイルス感染抵抗性の付与を目的に、本研究を実施した。抗PB2モノクローナル抗体遺伝子を蛋白質発現プラスミドにクローニング後、トランスフェクションにより抗PB2抗体恒常発現MDCK細胞の樹立を行った。複数種類のHA亜型およびNA亜型の組み合わせを持つインフルエンザウイルス感染実験を行った結果、抗PB2抗体発現細胞は野生型MDCK細胞と比較してウイルス感染抵抗性を示す事を明らかにした。また、インフルエンザウイルス転写・複製の場である細胞核への抗体の効率的な移行を目的に、抗PB2細胞内抗体のFab遺伝子を基に一本鎖抗体遺伝子を増幅し、発現ベクターへのクローニングを行った。構築プラスミドを複数の哺乳動物細胞にトランスフェクションしたところ、全ての細胞種において一本鎖抗体が良好に発現している事を蛍光抗体法およびウエスタンブロティングにより確認した。以上の結果から、ウイルスポリメラーゼ蛋白質に対する細胞内抗体は、亜型に関わらないインフルエンザウイルス感染抵抗性の付与に有効であり、本技術は将来の抗病性動物作製に応用可能であることが示唆された。現在、細胞内抗体発現トランスジェニックマウスを作製中である。
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http://hyoka.ofc.kyushu-u.ac.jp/search/details/K003945/