研究実績の概要 |
まず、生体骨及びインプラントの精度検定を行い、共に並進運動0.3mm、0.5度以内の精度を確認した。次に健常股において、4種類の日常生活動作における三次元動態解析を行った(Hara D, et al.: Biomed Res Int 2014)。立ち上がり動作に共通してみられた傾向は、股関節の屈曲角は骨盤後傾の影響で大腿骨の屈曲角よりも小さく、動作中で最大値を示すことであった。本研究のデータをbaselineとして、次に変形性股関節患者の動的病態の評価を行った(Hara D, et al.: Clin Biomech 2016)。変形性股関節症では、しゃがみ込み動作の際に、股関節の可動域制限を骨盤後傾の増加で代償して、深屈曲姿勢をとっていることを明らかにした。また、人工股関節置換術後のスポーツ動作時の股関節三次元動態を解析した。ゴルフスイング時では、最大外旋時にネック・エレベートライナー間での接触する症例を認めるものの、動作中に過度の回旋や不安定性を認めず、術後のスポーツ活動として許可できることを報告した(Hara D, et al.: AJSM 2016)。最終年度には、臼蓋形成不全症に対する寛骨臼移動術においては、術前後のスクワット動態の解析を行い、骨性被覆の改善が必ずしも可動域の減少に直結するわけではなく、健常股関節に近い前方被覆を目標とすることで充分な深屈曲が可能であることを明らかにした(Yoshimoto K, et al.: submitted)。Femoroacetabular impingementに対する骨軟骨形成術においても、術前後のスクワット動態を比較して、骨形態と動態を反映したインピンジメントの可視化が、正確な診断、責任病巣の同定及び術後評価に有用であることを示した(Yoshimoto K, et al.: submitted)。
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