研究課題/領域番号 |
25870507
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
城内 文吾 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (00548018)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | リンパ管 / リンパ液 / 炎症 / 脂質輸送 / 半永久胸管リンパカニュレーション法 |
研究概要 |
炎症は生体内外の有害刺激に対する生体防御反応であり、この防御反応の破綻は種々の病態発症に繋がる。しかし、血管同様に全身に張り巡らされているリンパ管の炎症が種々の病態に影響を与えるという知見は見受けられない。本研究の目的は、集合リンパ管およびリンパ液中の炎症状態に及ぼす食品成分、薬品成分の影響をマイクロアレイ解析・プロテオミクス解析により調べ、脂質輸送と炎症反応のネットワーク解明を試み、リンパ系の炎症抑制が病態発症の抑制に繋がるか検討することである。 本年度は、磁気ビーズ抗体を用いたマルチプレックスアッセイにより、リンパ液中のサイトカイン濃度測定が可能か試みた。サンプル測定間における洗浄工程を検討し、血清・血漿同様にリンパ液においても測定が可能であることを確認した。半永久胸管カニュレーション手術を施したラットに、酸化コレステロールを含む食餌あるいは対照食を摂食させた後、リンパ液を採取し、サイトカイン濃度を測定した。その結果、炎症性サイトカイン濃度が酸化コレステロール摂取により有意に上昇することを明らかとした。また、リンパ流量低下とともに脂質輸送量を低下させる薬剤を与えたラットのリンパ管マイクロアレイ解析を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
炎症反応の評価として、本年度はリンパ液中のサイトカイン分析に取り組んだ。その結果、酸化コレステロールの摂取がリンパ液中の炎症性サイトカイン濃度を上昇させることを見出した。次年度以降は、炎症性サイトカイン産生の場として想定される小腸におけるパイエル板や腸間膜リンパ節の解析を進めていく予定である。また、リンパ流量低下とともに脂質輸送量を低下させる薬剤を与えたラットのリンパ管マイクロアレイ結果の解析を進めていく予定である。以上のことより、本研究課題の進捗状況はおおむね順調と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究において、食事脂質がリンパ液中の炎症性サイトカイン濃度に影響を与えることを見出した為、小腸におけるパイエル板や腸間膜リンパ節におけるサイトカイン産生についても解析を進めていく予定である。また、リンパ流量低下とともに脂質輸送量を低下させる物質を摂取させたラットのリンパ管のマイクロアレイ解析を行った。今後、脂質輸送と炎症反応のネットワーク因子の探索を進めていく予定である。
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