研究実績の概要 |
炎症は生体内外の有害刺激に対する生体防御反応であり、この防御反応の破綻は種々の病態発症につながる。しかし、血管同様に全身に張り巡らされているリンパ管の炎症が種々の病態に影響を与えるという知見、リンパ液中の炎症状態を評価した知見は見受けられない。リンパ脂質輸送とリンパ系の炎症状態に及ぼす食品成分の影響を調べ、脂質輸送と炎症反応とのネットワーク解析を試み、リンパ系炎症応答と種々の病態発症との関係についての基礎的知見を得ることを目的とした。 平成25, 26年度において、リンパ液中のサイトカイン定量法および免疫担当細胞プロファイル解析法を確立し、酸化コレステロール摂取が食後のリンパ液中炎症性サイトカイン濃度を上昇させること、リン脂質およびプテロスチルベン摂取がサイトカイン濃度を低下させることを見出した。変動が認められたサイトカインの多くが動脈硬化症に関連するものであった。最終年度、上記の食品成分が免疫担当細胞プロファイルを変動させるかを調べ、リン脂質摂取はリンパ液中の免疫担当細胞プロファイルを変化させた。得られたデータを統計学的手法により解析し、脂質輸送量の変動と免疫担当細胞プロファイル変化がサイトカイン濃度変動に寄与していることが示された。
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