研究実績の概要 |
【飼育試験】胚発生から産卵親魚に至るまでの期間を低水温(15℃~17℃)と自然水温(13.3℃~32℃)それぞれの環境下で飼育したカタクチイワシについて、産卵開始水温と、種々の水温における産卵頻度を評価した。結果、産卵開始水温は両群ともに約15℃であった。産卵頻度は両群ともに水温の上昇に伴い高くなったが、群間における差異は認められなかった。以上、カタクチイワシ個体が胚発生から性成熟までに経験する水温は、上記繁殖特性には影響を及ぼさないことが示唆された。
【生殖関連遺伝子解析】カタクチイワシの性成熟を調節する遺伝子発現解析を行うために、性成熟期の雌個体から採取した脳、脳下垂体、卵巣および肝臓を対象としたトランスクリプトームデータベースの構築を行った。illumina HiSeq2000により得られた2000万リードペア/組織の塩基配列をアセンブルした結果、33,7197のコンティグ配列が得られた。さらに、これら配列のアノテーションおよびblast検索を行うことで、前年度までに遺伝子クローニングを行うことができなかったkiss1をはじめとする各種生殖・成長関連遺伝子の塩基配列情報を入手した。
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