研究課題
NASAにより2001年に打ち上げられたジェネシスミッションは力学系理論に基づいて設計された軌道が用いられ,力学系の性質を積極的に利用することで効率的な宇宙機軌道が実現された.しかし,その設計手法は試行錯誤的なものであり,設計理論の確立には至っていない.また,スラスタにより軌道制御を行う宇宙機は,スラスタによる加速度のもとでの非ケプラー運動となり従来の理論により軌道を計算することができない.このため,制御理論と力学系を結びつけ宇宙機の運動を理解することは重要な課題である.本研究では,発見的な軌道設計ではなく,制御理論的なアプローチから体系だった軌道設計理論の構築することを目的とし研究を行った.まず,スライディングモード制御系と呼ばれる非線形制御理論の一手法を用いた制御系の構築を行った.スライディングモード制御では,スライディングモードと呼ばれる超平面を設計し,制御系の応答をその面上に拘束することで所望と応答を得る.3体問題の力学系では自然に存在する安定多様体・不安定多様体がその役割を果たすことから,スライディングモード制御系を付加することでそれらのロバスト性を向上することに成功した.解析的な扱いが難しい多体力学系においては,限られた燃料しか持たない宇宙機がスラスタによる制御を行っても目的地まで到達するまで制御を続けることができるのかどうかわからない.このため,目的地に到達することができる初期状態の集合であるAttractive Setの概念を導入し,その形状を明らかにし,多体力学系の持つ不安定性と一意に関連付けられることを明らかにした.
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 3件、 査読あり 5件、 謝辞記載あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)
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