変異型ALDH2は、アルコール性肝障害にたいして保護的な役割を果たすことが、疫学研究や動物実験で示されている。とくに、飲酒によって上昇すると考えられている血清肝逸脱酵素が変異型ALDH2保有者では上昇せず、逆に低下することが示されている。つまり、変異型ALDH2保有者において、飲酒量や健康影響のマーカーとして血清肝逸脱酵素が不適当であると言える。
本研究課題では、アルコール性肝障害における肥満・耐糖能異常とALDH2遺伝子多型の交互作用に着目している(上記の関連が、肥満・耐糖能異常を合併した場合にも同様であるのか、それとも逆の関連となるのかに着目)。しかし、最近の大規模なゲノムワイド関連研究などで、ALDH2遺伝子多型が肥満・耐糖能異常の発症じたいに関係することが示されはじめた(変異型ALDH2保有者でBMIや血糖値が低い傾向)。
そこで本年度はAldh2ノックアウトマウスを用いて基礎的な検討を行った。Aldh2ノックアウトマウスと野生型マウスを通常飼育し、体重や血清アディポカインの比較検討などをおこなった。体重はオスマウスでは差が認められず、メスでは高週齢マウスでノックアウトマウスが比較的低値を示した。血清レプチン濃度はオスノックアウトマウスで野生型マウスよりも低値を示した。アディポネクチン、PAI-1、レジスチンには差が認められなかった。(第17回Aldh2ノックアウトマウス学会で発表)
|