研究課題
健常人において、不活性型ALDH2遺伝子多型保有者が飲酒した場合、血清肝逸脱酵素値が上がりにくいことが実験・疫学的検討で示されてきた。不活性型ALDH2遺伝子多型保有者は飲酒関連がんのリスクが高く、とくに飲酒を節制する必要があるにも関わらず、通常過量飲酒の指標となる血清AST、ALT、GGT値が上がりにくいことは、飲酒問題の気づきの機会を奪うことにつながる。動物実験から、肝障害の抑制と発がんリスクの増加は同時に引き起こされる現象であることが示唆されたため、肝障害と発がんのリスクを同じスペクトルで解釈するのは不適切である。 また、健常人でなく肥満・耐糖能異常を合併した場合、ALDH2遺伝子多型がどのように影響するかを検討するため、動物実験を行い、健常者と同様に不活性型ALDH2遺伝子多型保有者で血清AST、ALT、GGT値が上がりにくいことを示したが、これらの問題について、和文、英文の総論を執筆し、周知を図ることを目指した。また、メカニズムの検討結果として、肝臓のALDH2の代償機構として、CYP2E1の誘導とそれによる酸化ストレスの緩和を担うヘムオキシゲナーゼ1の誘導を確認した。抗酸化ストレス系はアルコール性脂肪肝誘発モデルや、四塩化炭素による肝炎誘発モデルでも確認された。また、ALDH2同様に抗酸化機能不全をきたすモデル動物(GCLMノックアウトマウス)でも同様の検討を行い、ALDH2欠損と似通った代償機構が誘導されていることを確認した。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 3件、 査読あり 4件、 謝辞記載あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
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