研究課題/領域番号 |
25870518
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
中村 朝美 佐賀大学, 医学部, 助教 (90457490)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 血漿遊離DNA / テーラーメード治療 / EGFR-TKI / T790M / EGFR-TKI再投与 |
研究概要 |
1、血漿遊離DNAを用いた非侵襲的EGFR遺伝子変異モニタリングシステムの確立 (1)血漿遊離DNA T790M検出とEGFR-TKI獲得耐性の相関について多施設共同前向き研究の解析:2014年2月末を持って症例の追跡期間が終了し、現在データの解析を行っている。2014年5月のASCOに演題が採用されており、解析結果を発表する予定である。 2、血漿遊離DNA EGFR活性化型変異とT790M変異の組み合わせにより、EGFR-TKI再投与や次世代EGFR-TKIの効果予測因子となりうるか前向き検討 (1)EGFR-TKI再投与を受けた肺癌患者で、再投与直前の血漿遊離DNAでの遺伝子変異の検出状況で再投与の奏効率、無増悪生存期間に差があるかどうかの前向き検討:当院にてEGFR-TKI再投与が15回施行されておりEGFR-TKI前治療前後、再投与前後で血漿遊離DNAからのEGFR活性化型変異とT790M変異の検出状況、血漿でのHGF量を測定した。またEHGR-TKI投与間に化学療法を施行されている場合はその奏効率も評価し、それらの因子とEGFR-TKI再投与の治療効果との間に相関があるかをレトロスペクティブに検討した。EGFR-TKI再投与の奏効率は13%、病勢制御率は47%であり、EGFR-TKI再投与前のHGFを前投与前のHGFで割った比が1.5以上であった8例中7例はPD、前投与PDから再投与前までの間に血漿遊離DNAからT790M変異が検出された5例中4例がPD、EGFR-TKI投与間に施行された化学療法がPRであった4例中3例は再投与SD以上の効果が得られた。以上よりEGFR-TKI再投与の効果予測因子の可能性として、血漿HGF比が1.5未満、T790M変異検出歴なし、EGFR-TKI再投与前の化学療法奏効が考えられた。現在上記結果について論文作成中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度に予定していた研究計画のうち、1、血漿遊離DNAを用いた非侵襲的EGFR遺伝子変異モニタリングシステムの確立の(1)血漿遊離DNA T790M検出とEGFR-TKI獲得耐性の相関について多施設共同前向き研究の解析は順調に進行している。 また平成26年度に予定していた2、EGFR-TKI再投与や次世代TKIの効果予測因子の検討についての研究が順調に進んでおり、論文作成とともに、多施設共同前向き研究の準備を行っているところである。この多施設共同前向き研究が開始できれば、1:(3)治療前後での血漿遊離DNA EGFR遺伝子変異の推移についての前向き検討で上げている治療前後でのEGFR遺伝子変異の推移も検討可能であると考えている。 1、血漿遊離DNAを用いた非侵襲的モニタリングシステムの確立の(2)exon19欠失、L858Rの検出率の差の原因検索については次年度以降行っていく予定である。 予定していた研究の順番は入れ替わっているが、全体的に見て研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は血漿遊離DNAでのEGFR活性化型変異、T790M、血漿HGFなどの分子マーカーがEGFR-TKI再投与の効果予測因子となりうるかの証明の為に、多施設共同前向き研究を行う事を目標としており、現在臨床試験のプロトコールを作製中である。 また、T790M変異があっても効果が期待できるとされている、非可逆的EGFR-TKIであるafatinibが2014年6月に承認されることが決まり、血漿遊離DNAでのT790M変異検出や血漿HGFレベルの測定がafatinib効果予測因子として有用かどうかも検討を行いたいと考えている。
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