研究課題/領域番号 |
25870520
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
深見 聡 長崎大学, 水産・環境科学総合研究科, 准教授 (20510655)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ジオツーリズム / 地域づくり / 地域資源 / 環境政策 / 住民意識 / 島嶼 / エコツーリズム |
研究概要 |
本年度は、持続可能な地域づくりを目指すジオパーク地域や構想地で展開されているジオツーリズム確立の地域メカニズムを理論的、実証的に明らかにする目的に対し、鹿児島県三島村の掲げる三島村ジオパーク構想に注目し、本構想に対する自治体や地域住民の意識の把握を試みた。また、ジオパークに類似したエコツーリズム等の観光形態やジオパークの活動事例に関する比較検討も重要なため他の地域の事例調査も実施した。具体的には、次の2点に重点的に取り組んだ。 1.ジオパークとジオツーリズムの理論的位置づけの検討 ジオパークやジオツーリズムの特長を先行研究から整理し、世界ジオバークが最も多く分布する中国の事例に触れつつ、日本における今後のジオパークのあり方を探ることを目的にアンケート調査および聞き取り調査を実施した。これまで、中国の事例を扱った邦語論文は少なく、とりわけそこを訪れる観光客や行政事務局を調査対象として、日本のジオパークとの共通点や相違点を実証的に把握したものはほとんどない。結果、中国での知名度は日本よりは高く、一口にジオパークと言っても、中国の場合は自然景観を中心としたゲートウェイ方式を採り、ジオパークにかかわる行政部門とその傘下の企業体の協働体制が確立していることが分かった。さまざまな地域や国でジオパークの仕組みが根付いていくには、地域多様性ともいうべき点に立脚した形態へと進化(深化)していくことが重要である点が指摘された。 2.三島村ジオパーク構想の現状と課題の解明 本構想を対象に、小島嶼におけるジオツーリズムの潜在的可能性の解明に取り組んだ。聞き取り調査を実施し、三島村役場職員と薩摩硫黄島住民から本構想に関する見解が収集された。結果、本構想に理論上の可能性があること、すなわち、ジオパークおよびジオツーリズムは、小島嶼における持続可能な観光の形成に寄与する地生態学的な手段となり得ることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ジオパークおよびジオツーリズムに関するアンケート調査・聞き取り調査を実施し、それらに関する詳細なデータを得ることができた。具体的には、ジオパークおよびジオツーリズムの理論的位置づけの再検討の上で、中華人民共和国におけるジオツーリズムの現状、日本ジオパーク認定を目指す唯一の島嶼地域である鹿児島県三島村の自治体ならびに地域住民の意識、ジオパークに類する観光形態である屋久島や対馬におけるエコツーリズムとジオツーリズムとの関わりの検討など、当初の予定以上に詳細な調査を実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、ジオパークにおける地域の観光化と担い手の意識の関わりについて分析することを課題としている。今後は、聞き取り調査やアンケート調査等によるデータ収集や、既存の先行研究を踏まえたジオツーリズムの確立モデルの精緻化を図るために、引き続き三島村ジオパーク構想を進める鹿児島県三島村に加え、その他研究の目的に寄与する対象地を随時洗濯し、調査の深化を図ることが課題である。
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