本課題では、任意環境下で安定的に用いることのできる煙検出のための画像認識手法の研究および開発を目的とする。煙はその特性として、透過性や拡散性およびそれらの結果として不定形状をもつ認識対象となる。本研究では、そのような煙の特性を考慮した新しい画像特徴量を提案した。新しい画像特徴量は、特に屋外での利用時に照明変動(日照や気象条件など)に対して安定して算出が可能なLocal Binary Patternを拡張したものである。提案する特徴量は、移動物体候補の抽出および背景依存性を除くための背景差分処理ののち、煙の特徴である(1)煙自身の拡散、(2)風などの外因による拡散、の両方を考慮した非等方な局所領域から算出される。算出された画像特徴量は、本研究の対象である屋外での煙検出に有効かつ安定的に機能するが期待できる。また、認識精度の向上のために、機械学習を導入し、任意環境下での環境依存性を学習により吸収する。機械学習手法として採用したAdaboostは、単純かつ高精度な識別能力をもつ学習アルゴリズムとして知られており、その実装も比較的容易であるため、本課題の用途に向いている。提案した新しい特徴量について、Adaboostを効果的に組み合わせた画像情報からの煙認識手法を開発し、実環境での運用を想定した検証データを用いて検証を行い、その有効性を確認した。
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