研究実績の概要 |
現在、初期評価を終了した対象者は92名 (平均年齢79.9±8.3歳) であり、そのうち45名が6ヶ月間の追跡調査を終了した。脱落者は6名(13.3%)であった。脱落者と6ヶ月間追跡可能であった者の初期評価時の就学年数、内服薬数、身体機能、認知機能及び二重課題遂行能力に有意な差は見られなかった。 6ヶ月間追跡可能であった者のうち、転倒経験者は13名 (28.9%) であった。転倒者の転倒回数は1回7名、2回以上6名であった。転倒後の受傷者は9名であり、内訳は打撲・擦り傷8名、骨折1名であった。また、追跡期間内に初めて転倒したのは、平均75.2±60.6日目 (平均11.1±8.6週目) であった。転倒の状況は、屋外転倒が6名、屋内転倒が7名でほぼ同数であった。 6ヶ月間、追跡できた者については、初期評価値と6ヶ月後の評価値について対応のあるt検定を実施した。結果、転倒リスクは3.7±2.1点から4.3±2.5点へ有意に増加、握力が22.1±9.1kgから20.3±8.9kgと有意に低下していた。その他の項目については、変化は見られなかった。転倒者と非転倒者の初期評価値を比較では、転倒者は非転倒者に比べ、有意に片足立位保持時間が短かった。本研究の予想される結果としてTUGとTUG manualの差であるdiff TUGが大きい地域在住高齢者では転倒発生率は高いと予測しているが、転倒者と非転倒者の初期値のdiff TUGには有意差は見られなかった。TUG及びdiff TUGとTMTには有意な相関が見られた(r=0.74, p<0.001r及び=0.39, p=0.011)。また同様にTUG及びdiff TUGとMMSEには有意な相関が見られた(r= -0.67, p<0.001及びr= -0.48, p=0.001)。
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