研究課題/領域番号 |
25870531
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
横井 裕一 長崎大学, 工学研究科, 助教 (80610469)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 波動発電 / パラメトリック振子 |
研究実績の概要 |
地球規模でエネルギー問題が深刻化する中,国内にほとんどエネルギー資源を持たず,その供給の大部分を国外からの輸入に依存する日本にとって,高度な技術力を活かしたエネルギー分野の研究開発は重要な課題である.エネルギー問題の根本的な解決には,半永久的に利用可能なエネルギー源の創出が求められる.このような課題に対し,海洋国家である日本には海洋エネルギーを最大限に利用できる可能性がある.本研究では,海洋エネルギーの1つである波動の上下運動をパラメトリック機械振子の変換特性を介して回転運動に変換し発電機を駆動して電気エネルギーを得る波動発電方式を提案している. 提案する波動発電方式の実用化の可能性を明らかにすることを目指す本申請の目的に従い,平成26年度は,浮体式機械振子装置を構築し,その基本運動を確認した.平成25年度で実施した予備実験の結果を踏まえ,機械振子の回転軸を水平方向からずらすことにより,発電運動の始動に必要な駆動トルクの低減と発電運動を維持する波動の周波数帯域の拡大を図っている.さらに,振子のおもり部分に永久磁石を取り付け,おもりの可動領域に面した部分に空芯コイルを配置することにより,振子と発電機が一体となった波動発電装置を設計,製作した.製作した装置を多目的二次元水槽に設置し,模擬した波動に対して,機械振子の振動および回転運動を確認した.この実験において,装置の浮体と,波の波高および周期を調整している.このように,浮体式機械振子装置の発電特性の測定実験を開始する段階に到達できた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度の研究計画は,平成25年度に構築した浮体式機械振子実験機で提案する波動発電方式を実証し,さらに実験装置の発電に関する基本特性を取得することであった.しかし,平成25年度の研究計画である実験機の設計・製作が完了できていなかったために,それに伴い,平成26年度の研究計画もやや遅れてしまっている.また平成27年度に実施することを予定している数理モデルの構築とその数値シミュレーションを前倒しして平成25年度に開始しているため,平成25,26年度に予定していた研究計画のみに限定した場合,研究は「やや遅れている」ものの,3年間の研究計画として考えた場合,「おおむね順調に展開している」と言える. 浮体式機械振子実験装置を製作するために,平成25年度から繰り越した物品費を計上している.
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今後の研究の推進方策 |
構築した浮体式機械振子実験機の発電動作である振動あるいは回転運動を発現するためには,機械振子の初期状態(実験開始時の位置と角速度)を調整する必要がある.しかし,実験機は大型であるだけでなく水上に設置されているため,人力による初期状態の設定は容易ではない.今後の発電特性の実験や実用化までを見据えると,制御による初期状態の調整が必要不可欠である.申請者はすでに初期状態を調整する制御方式を提案しているため,それを実験機に適用することを検討している.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画していたよりも物品費が高額となったため,その分,旅費を抑えた結果,次年度使用額が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
当初計画になかった実験装置の改造・修正を予定しており,その費用に充てることを計画している.
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