地球規模でエネルギー問題が深刻化する中,国内にほとんどエネルギー資源を持たず,その供給の大部分を国外からの輸入に依存する日本にとって,高度な技術力を活かしたエネルギー分野の研究開発は重要な課題である.エネルギー問題の根本的な解決には,半永久的に利用可能なエネルギー源の創出が求められる.このような課題に対し,海洋国家である日本には海洋エネルギーを最大限に利用できる可能性がある.本研究では,海洋エネルギーの1つである波動の上下運動をパラメトリック機械振子の変換特性を介して回転運動に変換し発電機を駆動して電気エネルギーを得る波動発電方式を提案している. 提案する波動発電方式の実用化の可能性を明らかにすることを目指す本申請の目的に従い,平成27年度は,浮体式機械振子装置の発電の確認と,提案方式のエネルギー変換の理論効率を導出した.平成26年度に構築した浮体式機械振子装置を多目的二次元水槽に設置し,模擬した波動に対して,機械振子の定常的な回転運動とそれに伴う発電を確認した.この実験において,装置の浮体による傾き(機械振子の固有周波数)と波の波高および周期を調整している.このように,浮体式機械振子装置による多目的二次元水槽で模擬した波動からの発電を実証できた.また,製作した実験装置は試作機であり最適に設計されていないため,その実験結果から本提案方式のエネルギー変換効率を見積もることは困難であった.そのため,浮体工学に基づいて,提案する波動発電方式のエネルギー変換の理論効率を検討し,その導出に成功した.
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