本研究は、個人のライフチャンスに深刻な影響を与える「乳幼児期の貧困」の構造を明らかにし、社会的支援のあり方について検討することを目指した。保育所を利用する保護者を対象とした統計的調査とインタビュー調査から、「乳幼児の養育環境の不平等」の一端を明らかにした。親の所得に応じて、子どもの衣食住、医療、レジャー、親子関係などに差が見られた。貧困にある家庭の親は、経済的・時間的・精神的余裕が失われていると感じ、子どもにていねいに関わることが困難であることがわかった。また、現在の日々の生活に大きな支障はなくとも、低所得によって貯蓄ができず、学資保険もかけられないことが多く、将来への不安をもたらしていた。
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