研究課題/領域番号 |
25870535
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
松本 千晴 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 助教 (30452874)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ソーシャル・キャピタル / 住民組織 |
研究実績の概要 |
本年度は、住民組織の「委員会型」である食生活改善推進員、健康づくり推進員、「地縁型」である老人クラブ連合会、「ライフステージ型」である子育てサークル、子育て支援サークルの計12グループに実施したインタビューデータ(逐語録)の分析を行った。 分析は、逐語録から、「組織の発展」、「組織内のメンバーに対する信頼や互酬性(結合型ソーシャル・キャピタル)」、「他組織に対する信頼や互酬性(橋渡し型ソーシャル・キャピタル)」を感じていると判断できる部分について、質的記述的研究法に基づいて行った。 1.組織の発展においては、4つのカテゴリー【組織の知名度が上がる】【メンバー数が増える】【活動領域が広がる】【活動の成果が表れる】が抽出された。 2.結合型ソーシャル・キャピタルにおいては、4つのカテゴリー【メンバー間に信頼関係がある】【メンバー間に協力体制がある】【メンバー間に相談体制がある】【メンバー間で顔の見える関係がある】が抽出された。 3.橋渡し型ソーシャル・キャピタルにおいては、6つのカテゴリー【子どもや高齢者を支援する】【他組織・他者と交流を持つ】【他組織との間に協力関係を持つ】【他組織と一緒に活動をする】【他組織とネットワークを構築する】【地域活動に協力する】が抽出された。 これらカテゴリーや逐語録の内容から、組織の発展、結合型ソーシャル・キャピタル、橋渡し型ソーシャル・キャピタルの間には、関連性があることが予測された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成28年度の計画では、質的分析により明らかになったデータおよび先行研究を元に、質問紙を作成し、予備調査を実施する予定であった。 しかし、年度初めに震災に遭い、講義や実習等が従来の期間から変更され、教育に多くの時間を費やす必要があった。また、地域住民を対象とした研究であったため、研究依頼をすることが難しい状況であった。加えて、年度途中から、産休・育休に入り、予定どおりに進めることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
質的分析により明らかになったカテゴリーおよび先行研究をもとに、住民組織の発展、地域レベルソーシャル・キャピタル、橋渡し型ソーシャル・キャピタル、結合型ソーシャル・キャピタルを評価する項目で構成される質問紙を作成し、予備調査を実施する。予備調査の結果をもとに、再構成した質問紙調査を住民組織メンバーに実施し、1.地域レベルソーシャル・キャピタルと橋渡し型ソーシャル・キャピタル、結合型ソーシャル・キャピタルとの関連性、2.住民組織の組織形態による各ソーシャル・キャピタルの違い、3.住民組織の発展に各ソーシャル・キャピタルがどのように関連しているかを明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
進捗状況に遅れがあり、今年度は質的分析に必要な物品等の購入のみだったため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度に実施する質問紙調査の予備調査および本調査での旅費と謝金および学会参加での旅費で使用する。
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