研究課題
若手研究(B)
1、腎臓発生に関わる新規遺伝子(以下、gene Xと呼ぶ)の同定Six2-GFP-Cre tgマウスはヘテロでは無症状であるが、ホモでは低形成腎を呈する。またこのマウスはBACベクター(clone RPCI23-311C1)を用いて作製されたものであり(Kobayashi et al., Cell Stem Cell 2008)、このベクターによって腎臓発生に関する遺伝子が不活化されていることが考えられる。申請者はこれまでの研究過程でこのBACベクターが1番染色体E2領域に組み込まれていることを見出しているが、この領域には腎臓発生に関する遺伝子が存在していなかったためベクターの挿入位置を同定することで腎臓発生に重要な新規遺伝子を発見できると考えられる。マウス尾からgenomic DNAを採取精製し、TruSeq DNA sample prep kit (illumine)を用いてシーケンスライブラリを作製し、HiSeq2000シーケンサーを用いて解析した。断片化したDNAのうち片方がTransgene (BAC construct)でもう片方がマウス遺伝子であるread pairを抽出し、ベクターの挿入位置を同定する。以上については理化学研究所横浜研究所オミックス基盤研究領域(http://www.osc.riken.jp/genas/)と共同で行った。その結果、Chr1:118764600-118764900領域にBACベクターが挿入されていることが分かった。この領域に遺伝子は存在しないため、近傍遺伝子が候補として考えられる。2、腎臓発生学の臨床応用申請者は2013年4月より東京女子医科大学腎臓小児科に異動し、腎臓発生学を臨床応用すべく研究を行っている。Six2-GFP-Cre tgマウスと同様に低形成腎を呈する常染色体劣性遺伝形式を有する家系を選択し、エクソーム解析を行った。現在はその候補遺伝子の抽出作業を行っている。
1: 当初の計画以上に進展している
当初はマウスから得られた知見をもとに腎臓発生に関する新規遺伝子を同定すし、その結果を受けて臨床への応用を目標としていた。しかしながら、東京女子医科大学腎臓小児科に異動し、実際に腎奇形を有する患者様を多数診察することで、マウスのみならずヒトにおいても研究を並行して行えるようになった。臨床応用に早く着手することができたという点において計画以上に進展することができたと考えている。
1、マウスChr1:118764600-118764900領域近傍に存在する遺伝子の発現を発生期腎臓を用いて確認する。発現が確認できればノックアウトマウスを作製し、その遺伝子の腎臓発生における重要性を証明する。2、ヒトすでに行ったエクソーム解析の結果をもとに、低形成腎遺伝子の候補を抽出する。その候補が決まり次第、上記と同様機能解析を行っていく。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (6件)
Journal of American Society of Nephrology
巻: 未定 ページ: 未定
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