研究課題
腎臓発生に関わる新規遺伝子の同定(1) Six2-GFP-Cre tgマウスを用いて本マウスはヘテロでは無症状であるが、ホモでは低形成腎を呈する。このマウスはBACベクターを用いて作成したものである。このベクターが腎臓発生に重要な遺伝子機能を抑制している可能性を考え、その挿入部位を同定し腎臓発生に関わる新規遺伝子を同定しようと試みた。HiSeq2000シーケンサーを用いて解析したところ、Chr:118764600-118764900領域にBACベクターが挿入されていることが分かったが、この領域に遺伝子は存在していなかった。(2)低形成腎を呈する兄弟例の解析申請者は2013年4月より東京女子医科大学腎臓小児科に異動し腎臓発生に関して研究を継続している。当科では全国の末期腎不全小児患者が集まり透析・移植を行っている。小児末期腎不全の原因として最も頻度が高いのは先天性腎尿路奇形(Congenital anomalies of the kidney and urinary tract)である。CAKUTの発症原因は発生異常に起因すると考えられている。従って、CAKUTの原因遺伝子を同定することは腎臓発生に重要な遺伝子を見出すことと言える。そこで当科かかりつけの低形成腎・片腎を呈する兄弟例に対し、常染色体劣性遺伝形式で発症していると仮説を立てエクソーム解析を家族5人に対して試行した。ホモで変異、欠失している遺伝子を抽出したところCBWD1をホモで欠失していることを同定し、サンガー法でも確認した。またRT-PCR法にてCBWD1がマウス発生期の腎に発現していることも証明した。今後はCBWD1が腎臓発生に重要であることを証明するためにノックアウトマウスを作製する予定である。
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