研究概要 |
逆相プロテインアレイによる細胞内シグナル伝達経路解析の確立を行う予定であったが、逆相プロテインアレイの適応検体が培養細胞のみに限定されるとのことで現段階では断念し、免疫染色にて評価を行うこととした。対象は閉経後エストロゲンレセプター(ER)陽性、Her2陰性原発乳癌患者(年齢中央値68歳)、臨床ステージI 8名、II 20名、III 2名。すべてアロマターゼ阻害剤を6か月間使用した。腫瘍縮小率は腫瘍長径の変化率を使用し、治療反応群(PR)13名、治療不応群(SD)17名であった。治療前組織および術後摘出組織に対して主にPI3K-Aktパスウェイ(MAPK、pAkt、PTEN, pp70S6K、4EBP1)の免疫染色を施行することとした。SD群では治療後ER低下の傾向(p=0.13)と治療後プロゲステロンレセプター(PgR)高値を認めた(p=0.026)。また治療前MAPK高発現(p=0.08)、治療前pAkt低値(p=0.0047)は治療不応と関連していた。リアルタイムPCRによる遺伝子増幅とmRNA発現の解析に関しては同検体を用いてDNA,RNAを抽出し、まず以下の30遺伝子の所在するlocusの増幅を解析した。1q(PMF1,HCN3),8p12(ZNF703,FGFR1,LSM1),8q24(MYC,PHF20L1)11q21/23(CCND1,EMSY,C11orf67),16p(IGF1R,POLR3E)16q(CYB5B),17q23(SUPT4H1, RNF43)20q(UBE2V1,AURKA, ZNF217) 現在これらプロファイルを解析中である。
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