研究課題/領域番号 |
25870540
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
池田 徳典 熊本大学, 大学院生命科学研究部, 特任助教 (00613530)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ES細胞由来樹状細胞 / 細胞治療療法 / 自己免疫疾患 / 自己免疫疾患モデルマウス / NODマウス / EAE |
研究概要 |
全身的な免疫抑制状態に陥らせることなく、免疫抑制を誘導する手法の開発を目的として、ES細胞から樹状細胞 (ES-DC)を分化誘導し利用する方法について検討を行った。ES-DCを1型糖尿病モデルマウスであるNODマウスに、糖尿病発症前に腹腔投与した。具体的には、4週齢の雌のNODマウスに、2週間間隔で1~3回、1回あたり5×105/匹のES-DCを行い、40週齢程度まで経過観察し、血糖値上昇の有無を調べることで、糖尿病発症の判定を行った。その結果1回のES-DCの投与では、その後の糖尿病発症の抑制効果は確認されなかったものの、2回投与以降では、非投与群と比較して著明な糖尿病発症抑制効果が確認された。 ES-DCの自己免疫疾患モデルマウスに対する治療効果の確認として、臨床症状を発症した実験的自己免疫性脳脊髄炎 (EAE)に対して、ES-DCの投与を行った。具体的には、myelin oligodendrocyte glycoprotein (MOG)によるEAE誘導後、尾部の麻痺が認められた誘導10日目に、3×106/匹のES-DCを1回静脈投与し、その後の臨床症状について検討した。その結果、ES-DC投与群では非投与群と比較して、投与後の臨床症状の軽減が確認された。EAE誘導マウスの主病巣である脊髄の病理学的評価ではES-DC投与群において、ES-DC非投与群と比較して、炎症細胞浸潤の軽減を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
自己免疫疾患モデルマウスに対してES-DCを投与することによる、自己免疫疾患の発症予防効果と治療効果を確認できた。NODマウスの場合、経過観察期間が40週齢と約8ヶ月程度と長く、抑制効果の有無について確認することに懸念があったが、問題なく観察できた。
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今後の研究の推進方策 |
予定通り、平成26年度計画に準じた実験を行っていく。具体的には、ES-DCを投与したNOD、EAEマウスに対し、Th1, Th17, Treg細胞を中心としたT細胞分画の検討をフローサイトメトリーにて行い、非投与群やNOD-ES細胞投与群との比較検討を行う。また責任病巣 (膵臓、脊髄)の病理学的な評価を行う。さらに、血清中の糖尿病自己抗体の測定並びにサイトカインの測定を経時的に行う。また、マウスの脾臓からナイーブT細胞を分離して、ES-DC存在下あるいは非存在下で種々のT細胞分画へ分化誘導を行い、分化誘導状況についてフローサイトメトリーにて検討する。またOT2マウスのナイーブT細胞から種々のT細胞分画に誘導後、APC存在下でOT2ペプチドを加え再刺激による増殖反応を促す。その際にES-DCか、あるいはコントロール細胞のB6-ES細胞を加えて、種々のT細胞分画の増殖が促進もしくは抑制されるか比較検討する。
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