研究課題
若手研究(B)
免疫不全マウス(SCID)においてヒトメラノーマ細胞を用いた抗腫瘍実験を行うために、まず治療に用いる細胞を作成した。ヒトiPS細胞をOP9フィーダー細胞上でミエロイド系細胞に分化誘導し、C-MYC遺伝子をレンチウイルスを用いて導入、不死化した。この細胞はM-CSF依存性ひ無限に増殖し、マクロファージ様の表面マーカー及び機能を持っている。以下この細胞をiPS細胞由来ミエロイド細胞ライン(iPS-ML)と呼称する。iPS-MLはそのままでは抗腫瘍効果は限定的であるため、抗腫瘍作用を持つ分子の遺伝子改変を行う必要があった。メラノーマにおいては、治療としてインターフェロンα(IFN-α)およびβ(IFN-β)が用いられていることから、これらを遺伝子導入した細胞を作成した。SCIDマウスにヒトメラノーマを腹膜播種させ、iPS-ML-IFNα、iPS-ML-IFN-βにて治療実験を行ったが、いずれも、コントロール群に対して、極めて強い腫瘍抑制効果を示した。抗腫瘍効果のメカニズムを検討するためにiPS-ML-IFNα、iPS-ML-IFN-βおよびコントロールのiPS-MLを用いて、腫瘍貪食能、サイトカイン産生能、表面マーカーの検討を行った。以上の結果については、論文作成中である。また新規メラノーマ抗原の探索として、FOXM1について検討したところ、メラノーマ細胞株、患者組織において高発現していた。また細胞株における細胞増殖実験、およびMAPK経路との関与についても検討し、論文を投稿中である。一方、新規腫瘍マーカーとしての血清microRNAについては、複数のmicroRNAを用いることで、転移の検出ができることを見出し論文報告した。さらに、皮膚組織を用いて、mir-146aのSNPが健常者に比べてメラノーマ患者では、有意にCGフェノタイプが多いことを見出し発表した。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画で予定していたCSPG4のscFvの遺伝子導入については、共同研究者であるピッツバーグ大とMTAは締結しているが、まだ先方において、準備中とのことでscFvを入手できていない。しかし、上述のようにCSPG4の遺伝子改変を行うまでもなく、IFN-αおよびIFN-βで十分な抗腫瘍効果が得られており、研究全体として進行に問題はない。新規がん抗原の探索については、FOXM1について成果を得てすでに論文投稿中である。また、新規腫瘍マーカーとしてのmicroRNAについても、上述のように論文発表することができた。さらに血清中のEGFRやレプチンレセプターがそれぞれ腫瘍マーカーとなりうることを論文報告した。以上より、おおむね順調に進展していると考えている。
iPS-MLの研究については、さらにその遊走能等について抗腫瘍効果のメカニズム解明を進めていく。さらに、IL-15など他の遺伝子改変についても施行予定である。iPS-MLはM-CSF存在下ではマクロファージ様であるが、GM-CSFとIL-4存在下では樹状細胞(DC)様となる。今後は、iPS-ML由来DCについても抗腫瘍実験を進めていく予定である。また、将来の臨床応用にむけては、安全性や副作用の検討が必須である。その点についてもマウスを用いて検討してく予定としている。また新規メラノーマ抗原としては次にCDCA1についての検討を行う予定としている。さらに新規腫瘍マーカーとしては、最近microRNAが患者の毛髪からも検出可能という知見を得たので、メラノーマ患者でも検討して、さらに非侵襲的なマーカーの確立にむけて研究を進めて予定である。
物品費に予算のほとんどを使用したが、端数として379円の残高が生じた。379円の残高については、次年度に物品費の一部として使用する予定である。
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