研究課題/領域番号 |
25870547
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
中野 貴文 熊本大学, 教育学部, 准教授 (70582972)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 古典教育 / ドラマ教育 |
研究概要 |
古典教育におけるドラマ教育の有効性を切り拓くべく、大学の講義演習やゼミ学生の指導を通じて、様々な可能性を模索した。ドラマ教育を実施するためには、学習者が学習内容を身近なものに感じていることが必須であり、そしてそのためには、一方的なチョーク&トークでは無い授業スタイルを古典教育においても行うことが不可欠である。そこで当該年度においては、如上の課題を解決する範例とすべく、2013年10月18日に熊本大学教育学部附属中学校の1年生2クラスを対象に、『竹取物語』を素材とした授業実践を行った。授業者となったのは申請者の指導する学生であり、「携帯電話もインターネットもない平安時代にタイムスリップしたら、どうやって遠く離れた人とコミュニケーションを取るか?」という問いかけを足がかりとして、古典における「文(ふみ)」の意味、および『竹取物語』との関係などについて、学習者間および学習者と教師間の対話を重視した授業を展開した。直截ドラマ教育を実践したわけではないが、タイムスリップしたという仮定から来る身体的な学び、想像力を必要とする学びが、ドラマ教育の重要性を浮かび上がらせる結果となったことが、学習者の感想等から明らかになった。さらに当該年度末には、『国語国文 研究と教育』第五十二号に「古典教育におけるドラマ実践―『伊勢物語』「芥川」より―」を執筆した。これは年度前半の大学の授業における、申請者のドラマ教育の実践を分析したものであり、古典教育におけるドラマ手法の有効性を改めて確認するとともに、今後高校などの場において実践する際の課題にも言及したものである。そこで挙がった問題をいかに解消するかが、次年度以降の研究の中心となるものと思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度においては、大学、学外の幾つかの場において、実際に古典におけるドラマ教育の実践を行うことができ、またそれらの分析を原稿化して発信することができた。小中高の学校現場における実践を増やすことが出来ればなお良かったとは思われるが、それ以外はおおむね順調に達成出来たものと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
前年度の実践で得られた課題を踏まえ、さらなるドラマ教育実践を行うことが求められる。本年度より本務校が熊本大学から東京女子大学へと変わったことをうけ、実践の場となる拠点作り、実践を受け容れてもらえる現場探しを、改めて行う必要がある。その上で、実践を重ね、より精緻な学習プログラムの開発を目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費に関しては、予想していたよりもやや安価に済ますことができた。旅行費に関しては、諸事情により出張の回数が当初の予想よりも少なくなってしまったことが原因である。 本務校が変更となったため、当初の計画とは異なり実践の拠点作り等に必要な経費が増えることが予想される。前年度に余った予算は、こちらに回すこととなる。それ以外は、当初の計画通りである。
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